ツーバイフォー工法(2×4工法)とは
デックスでは住宅建築において在来工法(木造軸組構法)とツーバイフィー工法(2×4工法)を採用しています。よく比較される2つの工法ですが、それぞれの特徴とはどんなところにあるのでしょうか?
今回はツーバイーフォー工法について詳しくご説明していきたいと思います。
Contents
■ 在来工法との違いについて
ツーバイフォー工法は「木造枠組壁工法」のひとつとなります。対照的な工法として、日本の古来から使用されている伝統的な住宅工法である「木造軸組工法(在来工法)」があります。
2つの工法の大きな違いは建物を支えている軸が違う事です。名前の通り柱と梁を軸として建築していく在来工法に対して、壁を面として建築していくいくのがツーバイフォー工法となります。
木造軸組構法は設計上の制限が少なく自由度が高いというメリットと、工法が複雑であるがゆえに職人のスキルによって品質が大きく違ってくるというデメリットが存在します。
比較してツーバイフォー工法は、釘1本から建築ルールが存在し、作り手の差が出にくい品質管理のされた建物となります。
たとえばマッチ箱やダンボール箱をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、すぐに折れ曲がってしまうような素材でも、箱状にすると、物を積み重ねたりすることができ、上や横から押しても簡単には破損しません。その頑丈な6面体の箱で、住宅を形成していくという丈夫な構造と言えます。
ツーバイフォー工法とはどんな工法なのでしょうか?
■ ツーバイフォー工法のメリット
①優れた耐震性能
日本で住宅を建築する際、やはり気になるのが地震に対する備えかと思います。
地震大国である日本において住宅の耐震性能はもっとも重要と言っても良い基本的な性能と言えます。ツーバイフォー工法での住宅が増えている理由もここにあると言えます。
ツーバイフォー工法は床と壁面、天井が一体となった6面体のモノコック構造となり、一体となった構造は地震の力を全体で受け止め分散します。その為、力が一箇所に集中する事がなく、倒壊や損傷の可能性を大きく軽減します。
構造上、在来工法と大きく異なる点は床部分の構造になります。在来工法は床材を火打土台で支えている構造となります。ツーバイフォー工法の床は6面体の一面となる為、非常に剛性が強く、1階2階共に地震に強い構造になります。
実際に平成23年の東日本大震災では、調査対象住宅20,772戸のうち当面補修をしなくとも居住に支障ない住宅は19,640戸となり、実に95%はそのまま住居が可能という結果となりました。また平成16年の新潟中越地震でも全壊半壊した住宅が18,800戸あるなか、ツーバイフォー住宅の全壊半壊戸数はゼロでした。
②耐火性能
木は燃えるイメージがありますが、太い角材や厚い板材においては温度上昇が遅く、火が付くと表面に炭化層ができ、それが断熱材の役割を果たす為、なかなか燃焼しないのです。加熱による強度の劣化は金属に比べかなり遅いと言えます。
ツーバイフォー構造の建物は、火の通り道を木材で塞ぐファイヤーストップ構造をしており、上階や隣に火が終え広がるのを防いでいます。
その為一般的にもツーバイフォー工法で建築された建物は耐火性能が高いとされ、火災保険の費用を抑えることもできます。一般的には火災保険で約1/2、地震保険で約1/3の保険料金となります。
③ハリケーンも防ぐ耐風性能
近年台風での危害も良く耳にしますが、ツーバイフォーは、強力なハリケーンが襲う北米地域で生まれた工法の為、耐風に対する工夫が施された工法でもあります。
そのひとつがハリケーンタイと言われるあおり止め金具です。ハリケーンタイは屋根のたる木と外壁部分をしっかり固定し強風から屋根を守ります。またこのハリケーンタイは優れた耐久性から雪庇対策にも用いられています。
④高機密、高断熱である
どんなに腕の良い大工さんが丁寧に建てた家であっても、窓枠や天井、床に壁などにちょっとした隙間が空いているモノです。その目には見えないほどの隙間が空気の通り道となります。空気が通るという事は、冬は寒い空気が入り、室内のあたたかい空気を外に出してしまう。夏は熱い空気が室内に入り、エアコンで冷やした涼しい空気を外に出てしまいます。隙間が多ければ冷暖房効率が悪くなります。
面と面を接合するツーバイフォー工法は隙間の少ない気密性を確保しやすい工法と言えます。高気密な建物は冷暖房効率だけでなく、ヒートショックの防止、耐火性能の向上という利点もあります。
■ ツーバイフォー工法のデメリットの勘違い
①建築時の間取りに自由度がなかったり、リフォームがしづらい
「間取りに制限があったり、後から変更することが難しい。」ツーバイフォー工法のデメリットとしてしばしば言われるこの話。実は少し違います。
面で構成された住宅の為、在来工法に比べ大空間が創れないと言われるツーバイフォー工法ですが、一区画40㎡(24帖)まで、上部床面の補強をおこなった場合は60㎡(36帖)までの空間を作れます。住宅としてはかなりの大空間といえるのではないでしょうか?
また、リフォームについても出来ないわけではありません。ツーバイフォー工法は1974年7月に当時の建設省が技術基準を告示し、在来工法と同様に建設できるようオープン化された工法となります。その為、建築方法が釘1本からルール付けされています。そのルールを熟知していない建築士が設計やリフォームをした場合、抜いてよい壁や窓の大きさの規定が解らず、どうしても自由度が少なくなってしまう事もあるようです。
よく在来工法の方がリフォームしやすいと耳にするのは、明確な遵守基準が少なかったためとなります。極端に言えば品質を損なっても自由にできてしまった為となり、決してリフォームがしやすいわけではありません。逆に工法をしっかり理解して行えば、ツーバイフォー工法であっても大規模なリフォームも安全に高品質で行う事が可能と言えます。
②大きな窓(開口部)を設置しにくい
こちらもよく聞くデメリットとなります。壁の表面積に対して「箱」の一部をくりぬいてつくることになるため、住宅を支える壁の強度が下がってしまうという事で、在来工法に比べると自由度が低いとは言えます。
実際には上記①と同じ理由と言えます。基本的に建物の隅角部(出隅、入隅)には90㎝以上の壁をつくる事、また耐力壁に開口部を設ける場合は、開口部の幅はその耐力壁線の長さの4分の3以下となります。このルールに則った開口部であれば設置が可能となります。
■ ツーバイフォー工法についてのまとめ
ツーバイフォーのメリットを考えると非常に災害に強い工法と言えます。地震、台風、火災と家における心配事に関してとても安心できる工法でしょう。
また長くから使用されている工法でもある為、耐久性においても実際に保証されていると言えます。
大切なマイホームの建築工法としてツーバイフォーはとても魅力的な工法と言えるでしょう。
■ デックスのハイブリット制震工法
デックスが提案する構造は、高耐震構造パネルによるモノコック構造による地震力に耐える耐震構造と、高減衰ゴム制震ダンパーの地震力を逃がす制震工法を組み合わせた、ハイブリッド制震工法です。
巨大地震が起こった際に、地震に耐えるには建物の耐震構造が必要ですが、先の熊本の地震のような繰り返し起こる余震や度重なる地震に対して、建物を守るには、建物に加えられる地震力を外に逃がし、基礎や木部の接合金物に対する負担を軽減する必要があります。
デックスでは、耐震と制震を組み合わせることで、「柔軟な立方体」を形成し、大きな地震力が繰り返し起こっても、建物にかかる負担を最小限に抑え、より長寿命な構造躯体をつくります。